学術情報

【文献紹介】運動とFMD

運動とFMDに関連する文献をご紹介いたします。文献は、随時更新予定です。

目次

Omega-3 fatty acids supplementation improves endothelial function and maximal oxygen uptake in endurance-trained athletes.
「オメガ3脂肪酸の摂取が持久トレーニングを行うアスリートの内皮機能と最大酸素取り込み量を向上させる」


著者:
Zebrowska A, Mizia-Stec K, Mizia M, et al.
出典:
Eur J Sport Sci. 2015;15(4):305-314.

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1080/17461391.2014.949310
キーワード:
オメガ脂肪酸、NO、自転車、運動

3週間のn-3不飽和脂肪酸(n-3 PUFA)摂取による自転車競技者の血中一酸化窒素(NO)、Asymmeteric dimethylarginen(ADMA:一酸化窒素合成酵素の内因性阻害物質)、内皮機能の超音波インデックス、最大酸素取り込み量(VO2max)に対する効果について評価した。1.3gのn-3PUFAを1日2回、3週間摂取した場合とプラセボについて、FMD値、脈波速度、血清マーカー(NO,ADMA)、脂質プロフィール、⊿VO2maxの項目を摂取プロトコールの前後で13名の自転車競技者に対して解析した。n-3PUFA摂取プロトコール実施後、介入試験前後でNO濃度に大きな差がみられた(13.9±4.2 vs. 23.5±3.6 µmol·l−1; P < 0.001)。n-3PUFA摂取による介入試験後のNO濃度はプラセボと比べて上昇がみられた (23.5±3.6 vs. 15.3±3.0 µmol·l −1; P < 0.01)。n-3 PUFA摂取群のNO濃度の増加量(⊿NO)は6.7±3.8μmol/lであり、プラセボ群の1.6±4.4μmol/lと比べて高値となった。介入後のNO濃度と最大酸素取り込み量には正相関(r = 0.72; P < 0.01)がみられ、⊿NOと⊿VO2maxにも正相関 (r = 0.54; P < 0.05)がみられた。プラセボに比べ、n-3 PUFA摂取後は高値(5.25%以上)のFMD値 (P < 0.05)と高値のVO2max値 (P < 0.001)に相関がみられた (r = 0.68; P < 0.05)。これらの知見はn-3 PUFA摂取に応じたNO放出量増加が心血管系の適応メカニズムに重要な役割を果たし、自転車競技者の運動能力を高めると示唆される。

Endothelial function in highly endurance-trained men: effects of acute exercise.
「高い持久トレーニングを行っている男性の内皮機能:即時的な運動効果」


著者:
Rognmo O, Bjørnstad TH, Kahrs C, et al.
出典:
J Strength Cond Res. 2008;22(2):535-542.

https://journals.lww.com/nsca-jscr/fulltext/2008/03000/endothelial_function_in_highly_endurance_trained.29.aspx
キーワード:
トレーニング、アスリート、抗酸化

運動トレーニングは内皮機能障害を好転させる。しかし、若年健常者についてはよくわかっていない。我々は高負荷トレーニングをしている被験者と運動をしていない対照者で最大酸素取り込み量(VO2max)と一連の高負荷運動でのFMD値、上腕動脈径、最大血流量、NO生体利用効率、抗酸化状態を評価した。10名のアスリート(23.5±0.9歳、身長182.6±2.4cm、体重72.5±2.4kg、VO2max75.9±0.8mL.Kg.min)と7名の健常対照者(25.4±1.2歳、身長183.9±3.74cm、体重92.8±3.9kg、VO2max47.7±1.7mL.Kg.min)に参加してもらった。最大心拍数の90%で5分×5セットのインターバル走を実施し、1、24、28時間後にFMD、上腕動脈径、最大血流量をドップラーエコー装置を用いて評価した。それぞれの時間でNO生体利用効率と血中の抗酸化状態を評価した。最大動脈径と血流量はアスリートと対照者でそれぞれ10-15%(P<0.02)と28-35%(P<0.02)増加した。FMD値は両グループで似た値であったが、運動1時間後はアスリートグループのFMD値が一過的に低下した。NO生体利用効率は両グループとも運動後に大きく増加していた。対照群では24時間後はベースラインまで低下したが、アスリートでは運動後24時間および48時間でベースラインの80%および93%上昇したままであった。抗酸化状態は両グループのベースラインは同じであったが、運動後1時間で約10%上昇し、効果は24時間までみられた。アスリートの動脈径は大きいが、運動していない被験者とFMD値は同じであった。すなわち、アスリートは運動していない対照者と比べて血液輸送能が大きい。FMD値、NOの生体利用効率、血中抗酸化状態は運動後の経過時間に大きく依存していた。

Physical Activity, Plasma Antioxidant Capacity, and Endothelium-Dependent Vasodilation in Young and Older Men.
「若年者と高齢者における身体活動度、血漿抗酸化能、内皮依存的な血管拡張」


著者:
Ferdinando Franzoni, Lorenzo Ghiadoni, Fabio Galetta, et al.
出典:
AJH. 2005; 18(4):510–516.

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0895706104011446
キーワード:
トレーニング、アスリート、抗酸化、高齢者

≪背景≫ 運動せずに加齢することは酸化ストレスや内皮機能傷害に関係する。若年と高齢健常者の長期の身体活動度、血漿抗酸化状態、動脈内皮機能の関係を評価することを目的とし、今回の研究を行った。
≪方法≫ 若年アスリート(n=16)と高齢アスリート(n=16)、そして体を動かさない健常若年者と高齢者について、内皮依存的FMDとトリニトロ酸グリセリル(GTN)400μgに対する内皮非依存的な応答を、高分解能超音波装置を用いて評価した。また、血漿マロンジアルデヒド(MDA)および抗酸化能(酸化ラジカルスカベンチャー能(TOSC)として)を評価した。
≪結果≫ 運動しない高齢者グループのFMD値(2.3±1.0%)は高齢アスリートのグループ(5.3±3.2%)や体を動かさない両グループ(5.4±2.0%)、トレーニングを行っている若年者グループ(6.1±3.2%)と比較して低値であった。体を動かさない高齢者は他のグループと比べて高いMDA値と低い血漿抗酸化能を示した。全グループではGTNではなく、FMD値が年齢と負の相関を示した(r=-0.31, P<0.05)。また、FMD値は最大酸素取り込み量(VO2max)やペルオキシラジカル(ROO・)に対するTOSC、ヒドロキシラジカル(HO・)と相関がみられた。多変量解析では、ペルオキシラジカルに対するTOSCがFMDの最も主要な予測変数であった(R2=0.60; P=0.003)。
≪結論≫ 定期的な身体的活動が高齢者の抗酸化防御や内皮機能を維持することに関係する可能性がある。

Improved Endothelium Dependent Vasodilation in Endurance Athletes and Its Relation With ACE I/D Polymorphism.
「アスリートにおける内皮依存的血管拡張の改善とACE Ⅰ/D多型の関係」


著者:
Halil Tanriverdi, Harun Evrengul, Seyhan Tanriverdi, et al.
出典:
Circ J : 2005; 69(9): 1105–1110.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/69/9/69_9_1105/_article
キーワード:
トレーニング、アスリート、抗酸化、高齢者、ACE Ⅰ/D多型

≪背景≫  有酸素運動は健常者の内皮依存性な血管拡張を高める。有酸素運動が一酸化窒素(NO)の産生を促進し、NO不活性化を低下させることでNOの生体利用が増加すると考えられる。アンジオテンシンⅡとNOは血管緊張の維持に重要な役割を果たしている。アンジオテンシン変換酵素(ACE)遺伝子の多型と欠損(D)アレルの存在はACE濃度が循環や組織で高くなることと関係する。今回の研究では内皮機能とACE遺伝子多型の関係をアスリートとほとんど体を動かさない被験者で調査を実施した。
≪方法と結果≫  調査グループは56名のアスリートと46名の非運動者で、上腕動脈超音波検査を実施した。すべての被験者についてACEインサート(Ⅰ)およびDアレルを分析した。上腕動脈の直径や血流のベースラインはアスリート群と対照群で同じであった。FMD値はアスリート群では8.48±3.65%、対照群では5.16±2.5%であった(p=0.0001)。アスリート群でのFMDはACE遺伝子型間で大きく異なった(p<0.0001)。すなわち、ACEⅡ群(10.5±1.6%)はDⅠ群(8.4±2.3%)やDD群(7±1.2%)と比べて高値であった。
≪結論≫ 特にACEⅡ遺伝型において、定期的なアイソトニック運動は内皮依存的な血管拡張を改善しうる。

Effect of a special carbohydrate–protein bar and tomato juice supplementation on oxidative stress markers and vascular endothelial dynamics in ultra-marathon runners.
「ウルトラマラソンランナーの酸化ストレスマーカーと血管内皮変化における炭水化物・プロテインバーとトマトジュース摂取の効果」


著者:
Antonios Samaras , Konstantinos Tsarouhas , Eleftherios Paschalidis, et al.
出典:
Food and Chemical Toxicology. 2014; 69: 231–236.

https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0278-6915(14)00158-6
キーワード:
ウルトラマラソン、プロテイン、トマト、酸化ストレス

運動が生体高分子の酸化ダメージや免疫機能障害、筋肉ダメージや疲労に関係する酸化ストレスをもたらす反応種の産生を誘発することは知られている。今回の研究では、ウルトラマラソンランナーに対する2カ月間のサプリメント摂取効果を評価した。サプリメントはチーズ工場の副産物を出発原料として使用した炭水化物とプロテインを1:1の比で含むホエイプロテインバー(N=16)、そして市販のトマトジュース(N=15)である。チオバルビツール酸反応性物質やカルボニルタンパクが両群で大きく減少し、プロテインバー摂取群でグルタチオンの減少がみられた被験者が増加した。抗酸化活性は両群で変化はみられなかった。血管内皮機能の評価に用いられるFMD値は両群で上昇傾向がみられ、トマトジュース摂取群でのみ顕著な上昇がみられた。ウルトラマラソンのランナーに対して2カ月間のサプリメント(プロテインバーまたはトマトジュース)摂取の結果、酸化状態の改善がみられた。トマトジュースは、さらに血管内皮機能の向上もみられた。

Arterial stiffness results from eccentrically biased downhill running exercise.
「ランニングの血管硬化度への影響」


著者:
Burr IF, Boulter M, Beck K.
出典:
J. Sci Med Sport, 2015;18(2):230-235.

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1440244014000462
キーワード:
ランニング、トレッドミル、脈波伝播速度、ABI

中程度のトレーニング(VO2max=52.2±7.4 ml/kg/min)をしている12人の男女(男性8名女性4名)に40分間、60%VO2maxとなるようにスピードを調整してトレッドミル(傾斜12%)で走らせた。ランニング前とランニング直後、および6, 24, 48, 72時間後に血管硬化度(脈波伝播速度※)と筋肉の痛みを測定した。筋肉の痛みは48時間後がマックスとなり、血管硬化度も同じように48時間後に最も硬くなり、72時間後まで有意にベースラインよりも高い状態であった。この結果から、極めて長時間、または速いペースで走らなくても、血管硬化度に影響を及ぼすことが示された。
※脈波伝播速度:心臓から出て動脈を伝わっていく脈のスピードを測定する検査。脈のスピードを知ることにより、脈の伝わる場所つまり動脈の硬さを推し量ることができる。この検査の際に、同時にABI(Ankle Brachial Index, 足首/上腕血圧比)を測定する。一般に腕の血圧に比べ足の血圧は高い値を示すので、ABIは0.90~1.35の範囲を示すが、これより低値の場合、足に向かう動脈の内径が狭くなっていることが疑われ、高値の場合、血管の壁が硬くなっていることが疑われる。

Long-term ultra-marathon running and arterial compliance.
「長期間ウルトラマラソンをする人の動脈コンプライアンス」


著者:
Burr JF, Drury CT, Phillips AA, et al.
出典:
J. Sci Med Sport. 2014; 17(3): 322-325.

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1440244013001059
キーワード:
ウルトラマラソン、動脈コンプライアンス、トレーニング

習慣的にマラソンをする人は、循環器系のリスクが高く、この点に関して、医学的にも科学的にも興味が持たれる。42.2 km以上走るウルトラマラソンをする人が増えてきているが、そのためのトレーニングや練習が血管にどのような生理学的影響を及ぼすか、ほとんど分かっていない。本報では、娯楽としてウルトラマラソンを5年以上続けている男性の動脈コンプライアンスについて評価し、トレーニングとの関係について調べた。動脈コンプライアンスを調べるためにアプラネーショントノメトリー(CR-2000、HDI)で拡張期の動脈内圧を測定した。大動脈コンプライアンスは、ウルトラマラソンをしているグループの方が有意に低かった(p=0.03)。特にトレーニングで走る距離が長くなるほど、コンプライアンスは低くなった(r=-0.72、p=0.03)。しかし、トレーニングの回数、運動強度、および継続期間に関しては寄与しなかった。これらの結果から、ウルトラマラソンをする人は、通常の生活をしている人と比較して、動脈硬化度の影響により、将来的な循環器系のリスクが高まることが示された。

Why isn’t flow-medeiated dilation ehhanced in athletes?
「なぜアスリートのFMD値は上昇しないのか?」


著者:
Green DJ, Rowley N, Spence A, et al.
出典:
Med Sci Sports Exerc. 2013; 45(1): 75-82.

https://journals.lww.com/acsm-msse/fulltext/2013/01000/why_isn_t_flow_mediated_dilation_enhanced_in.12.aspx
キーワード:
アスリート、ニトログリセリン、血管壁

動物やヒトでは運動などで体を動かすことで血管内皮の機能向上が見られることが示唆されているが、アスリートの場合、そうとは限らない。上肢や下肢をよく動かすオリンピック選手や世界レベルのアスリートの上腕部および大腿部の動脈を5分間止血してFMDを測定し、ニトログリセリン量、血管壁の厚さ(WT)、動脈壁/内腔比を測定した。(被験者の内訳:カヌーをこぐ人(n=13)、スカッシュ選手(n=13)、脚をよく使うアスリート(ランナー、自転車選手、トライアスリートなど、n=13)、年齢が同じくらいのコントロール被験者(n=16)。被験者は全員男性。)結果、コントロールよりもすべてのアスリートの方が大腿動脈のFMD値が低かったのに対して(p<0.05)、上腕動脈のFMDはスカッシュ選手のみ低かった(p<0.05)。アスリートでは血管直径とFMD間で逆の相関が見られ(p<0.05)、血管壁/内腔比と大腿動脈のFMD値も逆の相関が見られた(p<0.05)。つまり、動脈のFMD値はアスリートの方が低いが、動脈は大きく、WTは小さいことが示された。動脈のFMD値が下がるのは、アスリートの動脈の直径やWTが再構築されることが関係しているのかもしれない

Higher endogenous nitrite levels are associated with superior exercise capacity in highly trained athletes.
「高度のトレーニングをしているアスリートは、内在性硝酸塩濃度を上げることで運動能力が高まる」


著者:
Totzeck M, Hendgen-Cotta UB, Rammos C, et al.
出典:
Nitric Oxide. 2012; 27(2): 75-81.

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1089860312002388
キーワード:
無機硝酸塩、乳酸、LAT、血漿硝酸塩

無機硝酸塩を食事で摂取することで、アスリートのパフォーマンス能力を上げると考えられていることから、この報告では、硝酸塩濃度を上げることで、血管内皮機能とは関係なく、高度のトレーニングをしているアスリートの運動能力が上がるか検討している。11名の男性アスリートに2回同じ試験を実施した。血漿中硝酸塩濃度は静脈血から、血管内皮の機能はFMDから判断した。各被験者には疲労困憊状態になるまで自転車運動をさせた。乳酸濃度を測定するために、耳たぶから血液を採取した。代謝性閾値(乳酸性閾値、LAT※)の心拍数への寄与は非線形回帰モデルから算出した。血漿硝酸塩濃度はLATと相関があり(r=0.65;p=0.001、n=22)、血管内皮機能(FMD)とも相関が見られた(r=0.71;p=0.0002)。2回テストを実施しているが、相関係数に違いは見られなかった。多重線形回帰分析より、ベースラインの血漿亜硝酸塩濃度は運動能力の独立した予測因子であったが、内皮機能は予測因子ではなかった。また血漿中硝酸塩濃度と運動能力との相関は見られなかった。
※LAT:運動中、徐々に運動強度を増やしていった時、急激に血中乳酸が増え始めたり、呼気中の炭酸ガス濃度が増え始める運動強度

The Effect of Weight Loss and Exercise Training on Flow-Mediated Dilatation in Coronary Heart Disease: A Randomized Trial.
「冠動脈疾患における血流依存性拡張に対する減量と運動トレーニングの効果:ランダム化試験」


著者:
Philip A. Ades MD, Patrick D. Savage MS, Stefan Lischke MD et al.
出典:
CHEST.2011;140(6):1420-1427.

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0012369211606375
キーワード:
冠動脈精神疾患(CHD)、減量、ウォーキング

≪背景≫ 心臓リハビリテーションを受ける患者の80%以上は過体重であり、それに伴ってインスリン抵抗性、糖尿病、高血圧、高脂血症、および血栓促進状態が高い頻度でみられる。これらの特徴はそれぞれ冠動脈性心疾患(CHD)患者の長期予後の予測因子である内皮依存性血流介在性拡張(FMD)の異常と関連しているため、我々はCHDの過体重患者のFMDに対する運動トレーニングと体重減少の効果を評価した。
≪方法≫ 全患者(N = 38)が通常の予防薬を服用しながら行動的減量に参加した。被験者はカロリー消費量の異なる2つの運動プロトコールのいずれかに無作為に割り付けられた。主要アウトカムは、4ヵ月間の運動・減量プログラム前後の超音波検査による上腕動脈FMDの程度(%)であった。
≪結果≫ 両群とも減量と運動後に上腕動脈FMDが増加した。高カロリー運動条件(長距離ウォーキング)に無作為に割り付けられた患者は、減量が少なかった低カロリー運動群の被験者よりも体重が減少し(8.6±4.1kg vs 2.3±3.3kg[P<0.001])、上腕動脈FMDの増加率が大きかった(3.6±4.1% vs 1.3±2.1%、P<0.05)。両群ともピーク有酸素運動能力は同様に増加した。FMDの増加は、腹部脂肪、グルコース処理、脂質測定、血圧、または身体活動や心肺体力の測定よりも、体重の変化と相関していた。
≪結論≫ 過体重および肥満のCHD患者では、運動と減量によりFMDが増加した。体重減少が大きいほどFMDの改善も大きかった。

Exercise-based cardiac rehabilitation improves endothelial function assessed by flow-mediated dilation but not by pulse amplitude tonometry.
「心臓リハビリテーションでの運動療法は、FMDで評価した内皮機能を改善するが、RH-PATでは改善されない」


著者:
Véronique A Cornelissen, Steven Onkelinx, Kaatje Goetschalckx, et al.
出典:
European Journal of Preventive Cardiology.2014;21(1):39-48.

https://academic.oup.com/eurjpc/article/21/1/39/5925942
キーワード:
冠動脈疾患、RHI、心臓リハビリテーション

冠動脈疾患患者において、上腕動脈と遠位動脈床で同時に評価される内皮依存性血管拡張機能に対する運動の効果を、それぞれflow-mediated dilationとpulse amplitude tonometry法により調べることを目的とした。この研究は、Cardiac Rehabilitation and Genetics of Exercise performance studyに参加した安定冠動脈疾患患者146人(男性123人、平均年齢62±9歳)を対象とした。全患者は12週間の指導付き心臓リハビリテーションプログラム(心拍予備能の80%の強度で週3回)を終了した。ベースライン時およびトレーニング終了時に、超音波スキャン(12MHzのリニアアレイトランスデューサー)によって上腕動脈径を測定し、同時に脈拍振幅トノメトリー装置(PAT装置)を用いて、安静時および5分間の前腕カフ閉塞によって誘発された反応性充血後の指先の脈拍振幅を評価した。ピーク酸素摂取量は有意に増加し(+22%;p<0.0001)、FMDは10.0%から13.1%に改善した(+37%;p<0.0001)が、PAT装置のRHI(Reactive Hyperemia Index)は、運動ベースの心臓リハビリテーション後も変化しなかった(p=0.47)。しかし、基礎デジタル脈拍振幅(+58%;p < 0.001)は、反応性充血後のデジタル脈拍振幅(+22%;p < 0.05)と同様に、トレーニングの結果として増加した。運動ベースの心臓リハビリテーションは、脈波振幅トノメトリー法でのRHIではなく、FMDにて測定数内皮機能の改善と関連していると考えられる。

Exercise-based cardiac rehabilitation improves endothelial function assessed by flow-mediated dilation but not by pulse amplitude tonometry.
「心臓リハビリテーションでの運動療法は、FMDで評価した内皮機能を改善するが、RH-PATでは改善されない」


著者:
Véronique A Cornelissen, Steven Onkelinx, Kaatje Goetschalckx, et al.
出典:
European Journal of Preventive Cardiology.2014;21(1):39-48.

https://academic.oup.com/eurjpc/article/21/1/39/5925942
キーワード:
冠動脈疾患、RHI、心臓リハビリテーション

冠動脈疾患患者において、上腕動脈と遠位動脈床で同時に評価される内皮依存性血管拡張機能に対する運動の効果を、それぞれflow-mediated dilationとpulse amplitude tonometry法により調べることを目的とした。この研究は、Cardiac Rehabilitation and Genetics of Exercise performance studyに参加した安定冠動脈疾患患者146人(男性123人、平均年齢62±9歳)を対象とした。全患者は12週間の指導付き心臓リハビリテーションプログラム(心拍予備能の80%の強度で週3回)を終了した。ベースライン時およびトレーニング終了時に、超音波スキャン(12MHzのリニアアレイトランスデューサー)によって上腕動脈径を測定し、同時に脈拍振幅トノメトリー装置(PAT装置)を用いて、安静時および5分間の前腕カフ閉塞によって誘発された反応性充血後の指先の脈拍振幅を評価した。ピーク酸素摂取量は有意に増加し(+22%;p<0.0001)、FMDは10.0%から13.1%に改善した(+37%;p<0.0001)が、PAT装置のRHI(Reactive Hyperemia Index)は、運動ベースの心臓リハビリテーション後も変化しなかった(p=0.47)。しかし、基礎デジタル脈拍振幅(+58%;p < 0.001)は、反応性充血後のデジタル脈拍振幅(+22%;p < 0.05)と同様に、トレーニングの結果として増加した。運動ベースの心臓リハビリテーションは、脈波振幅トノメトリー法でのRHIではなく、FMDにて測定数内皮機能の改善と関連していると考えられる。

Isometric handgrip training improves local flow-mediated dilation in medicated hypertensives.
「等尺性ハンドグリップトレーニングは薬物治療中の高血圧患者の局所血流依存性拡張を改善する」


著者:
Cheri L. McGowan, Adrienne Visocchi, Martha Faulkner, et al.
出典:
European Journal of Applied Physiology.2007;99:227-234.

https://link.springer.com/article/10.1007/s00421-006-0337-z
キーワード:
ハンドグリップ、IHG、高血圧

両側等尺性ハンドグリップ(IHG)トレーニングは、薬物治療を受けている高血圧患者の安静時動脈血圧を低下させる。多くのメカニズムが示唆されているが、まだ調査されていない。そのような機序の1つは、全身性内皮依存性血管拡張の改善である。この研究の目的は2つある:(1)両側IHGトレーニングが内皮依存性血管拡張に有益な効果をもたらすかどうかを調べること、(2)改善された全身の内皮依存性血管拡張が血圧低下の原因となるかどうかを調べること。16名の参加者が、両側性IHG(n=7)または片側性IHG(n=9)のいずれかのプロトコールを用いて、最大随意努力の30%で2分間のIHG収縮を4回、週3回、8週間行った。上腕動脈(BA)flow-mediated dilation(FMD、内皮依存性血管拡張の指標、両腕で測定)をトレーニング前後に評価した。両側IHGトレーニング後、BA FMDは両腕で改善した(ピークせん断速度0.005±0.001から0.02±0.002s-1に正規化、P<0.01)。片側IHGトレーニング後、BA FMDはトレーニングした腕でのみ改善した(正規化0.009±0.002→0.02±0.005s-1、P<0.01)。これらの所見から、IHGトレーニングは内皮依存性の血管拡張を改善するが、その改善はトレーニングした四肢の局所的にしか起こらないことが示唆される。このことは,内皮依存性血管拡張の亢進が,薬物治療を受けている高血圧患者において観察されたIHGトレーニング後の血圧低下のメカニズムではないことを示唆している。

Training Improves Flow-Mediated Dilation in Patients With the Polymetabolic Syndrome.
「身体トレーニングは多代謝症候群患者の血流依存性拡張を改善する」


著者:
Ales̆a Lavrenc̆ic̆, Barbara Guz̆ic̆ Salobir, Irena KeberPhysical.
出典:
Journal of the American Heart Association. 2000;20(2):551-555.

https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/01.ATV.20.2.551
キーワード:
多代謝症候群、グリセリルトリニトレート、インスリン抵抗性

超音波検査による血流介在性拡張障害として検出される内皮機能障害は、アテローム形成の初期イベントであり、アテローム斑が出現する何年も前に、アテローム性動脈硬化症の危険因子を有する健常者において証明されている。われわれは、多代謝症候群の患者において、身体トレーニングが血流介在性拡張に及ぼす影響を検討した。40~60歳の無症状でポリメタボリック症候群の男性29人を、対照群と週3回のトレーニングを12週間行ったトレーニング群に無作為に分けた。高解像度の超音波画像上で、安静時、反応性充血後(血流を介した内皮依存性の拡張を引き起こす)、およびグリセリルトリニトレート舌下投与後(内皮非依存性の血管拡張を引き起こす)の上腕動脈の直径を、トレーニング期間前と後にすべての被験者で測定した。トレーニングプログラムにより、体力は18%増加した。血流介在性拡張は5.3±2.8%から7.3±2.7%に増加した(P<0.05)。肥満度、血圧、インスリン抵抗性、脂質、ビッグエンドセリン-1にはいずれの群でも変化はなかった。トレーニング前に測定された血流介在性拡張は、安静時心拍数、ウエスト-ヒップ比、インスリン抵抗性と負の相関を示した。安静時心拍数は唯一の独立した決定因子として浮上し、血流介在性拡張の変動の22%を説明した。結論として、我々の知見は、最大運動能力を向上させる3ヵ月間の身体トレーニングプログラムが、多代謝症候群患者の血流介在性拡張を促進することを示唆している。

No acute hyperglycemia induced impairment in brachial artery flow-mediated dilation before or after aerobic exercise training in young recreationally active males.
「レクリエーションに積極的に参加する若い男性において、有酸素運動トレーニングの前後で、急性高血糖による上腕動脈の血流介在性拡張障害は生じなかった」


著者:
Jennifer S Williams, Jacob T Bonafiglia, Trevor J King et al.
出典:
Eur J Appl Physiol. 2023;123(12):2733-2746.

https://link.springer.com/article/10.1007/s00421-023-05209-0
キーワード:
高血糖、有酸素運動

急性高血糖によって誘発される一過性の内皮機能障害は、1回の有酸素運動によって軽減される可能性があるといういくつかの証拠がある。しかし、急性高血糖による内皮機能障害に対する有酸素運動トレーニングの影響については検討されていない。本研究の目的は、急性高血糖に対する内皮機能反応に対する有酸素運動トレーニングの影響を明らかにすることである。健常男性24名(21±1歳)を対象に、75gのブドウ糖摂取前、60分後、90分後に上腕動脈の血流介在性拡張(FMD)を評価した。参加者は、4週間の対照(CON;n=13)または運動トレーニング(EX;n=11)介入を完了した。EX群では、4週間のサイクリング運動(30分、ピーク時65%の仕事率で4回/週)を行った。心肺体力([式:本文参照]O2ピーク)は、介入後、EX群では増加し、安静時HRは低下したが、CON群では低下しなかった(p<0.001)。グルコースとインスリンはグルコース摂取後に増加したが(p<0.001)、介入前後で有意差はなかった。これまでの研究とは対照的に、FMDはグルコース摂取の影響を受けず、両群とも介入前後で影響を受けなかった。結論として、急性高血糖は運動トレーニングの前後で内皮機能を損なうことはなかった。ベースラインの体力が比較的高く([式:本文参照]O2ピーク~46mL/kg/分)、年齢が若かったことが、障害が観察されなかった一因と考えられる。高血糖が誘発する内皮機能の障害に対する運動トレーニングの影響について、座りがちな男女におけるさらなる研究が必要である。

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