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【文献紹介】身近な食品とFMD

本ページではさまざまな食品が血管機能に及ぼす影響をご紹介します。文献は、随時更新予定です。

目次

Snacking on whole almonds for 6 weeks improves endothelial function and lowers LDL cholesterol but does not affect liver fat and other cardiometabolic risk factors in healthy adults: the ATTIS study, a randomized controlled trial.
「ホールアーモンドを6週間間食すると、内皮機能が改善し、LDLコレステロールが低下するが、健康成人における肝脂肪および他の心代謝リスク因子には影響しない:ランダム化比較試験ATTIS試験」


著者:
Vita Dikariyanto, Leanne Smith, Lucy Francis, et al.
出典:
Am J Clin Nutr. 2020 ;111(6):1178-1189.

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S000291652201125X?via%3Dihub
キーワード:
アーモンド、LDLコレステロール、脂肪肝

アーモンドの摂取がLDLコレステロールを低下させることは知られているが、内皮機能や肝脂肪への影響は不明である。本研究では、CVDリスクが高い成人を対象に、6週間の無作為化試験を実施し、ホールアーモンドと一般的なスナックの影響を比較した。結果として、アーモンド摂取により内皮依存性血管拡張が有意に増加し、LDLコレステロールが低下したが、肝脂肪には影響がなかった。

Tomato paste supplementation improves endothelial dynamics and reduces plasma total oxidative status in healthy subjects.
「トマトペーストの摂取により健常被験者の血管内皮機能が改善され、血漿中の酸化物が減少する」


著者:
Xaplanteris P, Vlachopoulos C, Pietri P, et al.
出典:
Nutr Res. 2012; 390-394.

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0271531712000656
キーワード:
トマト、リコピン、抗酸化

トマト製品の摂取が血管内皮機能に及ぼす影響を評価した。19名を対象に、14日間トマトペースト(リコピン33.3 mg含有)を摂取するランダム化単盲検クロスオーバー試験を実施。FMD測定の結果、摂取群では15日目に有意な上昇がみられ、非摂取群では低下した。酸化状態も摂取期間後に低下した。

Addition of milk prevents vascular protective effects of tea.
「牛乳は紅茶の血管保護効果を妨げる」


著者:
Mario Lorenz, Nicoline Jochmann, Amélie von Krosigk, et al.
出典:
European Heart Journal. 2007; 28(2):219-223.

https://academic.oup.com/eurheartj/article/28/2/219/2887513
キーワード:
紅茶、牛乳、カテキン、カゼインタンパク

紅茶の心血管系への予防効果は示されているが、ミルク添加の影響には議論がある。本研究では、紅茶の血管作用に対するミルクの影響を検討し、細胞培養、ラット大動脈輪、HPLC分析を用いてミルクタンパク質の影響を解析した。 16名の健康女性が紅茶、ミルク添加紅茶、または対照の水を摂取し、摂取前後でFMDを測定した。紅茶はFMDを有意に改善したが、ミルク添加によりその効果は消失。ラット大動脈輪と内皮細胞でも同様の結果を確認し、紅茶は血管弛緩と内皮一酸化窒素合成酵素の活性を促進したが、ミルク添加により抑制された。カゼインがカテキンと結合し、この阻害作用を引き起こすと考えられた。

Effect of coffee on endothelial function in healthy subjects: the role of caffeine.
「健康な被験者の内皮機能に対するコーヒーの影響: カフェインの役割」


著者:
Chris M Papamichael 1, Konstantinos A Aznaouridis, Emmanouil N Karatzis, et al.
出典:
Clin Sci (Lond). 2005;109(1):55-60.

https://portlandpress.com/clinsci/article-abstract/109/1/55/68288/Effect-of-coffee-on-endothelial-function-in?redirectedFrom=fulltext
キーワード:
コーヒー、カフェイン

ーヒーの内皮機能への影響を検討するため、健康な成人17名を対象にカフェイン入りとカフェインレスのコーヒー摂取前後でFMDを測定した。 カフェイン入りコーヒーはFMDを有意に低下させ、特に30分後と60分後に顕著だった。一方、カフェインレスでは変化がなかった。FMDへの影響はコーヒーの種類で異なり、この作用はカフェインによる可能性が高い。

Effect of a special carbohydrate–protein bar and tomato juice supplementation on oxidative stress markers and vascular endothelial dynamics in ultra-marathon runners.
「ウルトラマラソンランナーの酸化ストレスマーカーと血管内皮変化における炭水化物・プロテインバーとトマトジュース摂取の効果」


著者:
Antonios Samaras , Konstantinos Tsarouhas , Eleftherios Paschalidis, et al.
出典:
Food and Chemical Toxicology. 2014; 69: 231–236.

https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0278-6915(14)00158-6
キーワード:
ウルトラマラソン、プロテイン、トマト、酸化ストレス

運動は酸化ストレスを引き起こし、免疫機能や筋肉に影響を与える。本研究では、ウルトラマラソンランナーを対象に、2カ月間のサプリメント摂取の影響を評価した。 プロテインバー(炭水化物:プロテイン=1:1、N=16)とトマトジュース(N=15)を摂取し、酸化ストレスマーカーを測定した。両群で酸化ダメージ指標が減少し、プロテインバー摂取群ではグルタチオンの減少がみられた。抗酸化活性に変化はなかった。FMDは両群で上昇傾向を示し、トマトジュース群でのみ有意な改善が確認された。

The efficacy of black tea in ameliorating endothelial function is equivalent to that of green tea.
「紅茶は緑茶と同等の内皮機能改善効果を示す」


著者:
Nicoline Jochmann, Mario Lorenz, Amélie von Krosigk,et al.
出典:
British Journal of Nutrition. 2008; 99: 863–868.

https://www.cambridge.org/core/journals/british-journal-of-nutrition/article/efficacy-of-black-tea-in-ameliorating-endothelial-function-is-equivalent-to-that-of-green-tea/0BBADC82FD178A2122D38B11F26A2C90
キーワード:
紅茶、緑茶、カテキン

お茶の摂取は内皮機能を改善し、主成分のカテキンが関与すると考えられている。本研究では、緑茶と紅茶の効果を比較するため、細胞・動物実験および健康な女性21名を対象としたヒト試験を実施した。細胞・動物実験では、両茶とも内皮NO合成酵素の活性を増加させ、血管拡張を誘導した。ヒト試験では、摂取2時間後のFMDが水と比較して有意に増加し、緑茶と紅茶の間に差はみられなかった。

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