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【文献紹介】認知機能の老化とFMD

加齢に伴い、認知機能や血管の健康にはさまざまな変化が生じることが知られています。近年、血管内皮機能の低下が、認知機能の老化に関与する重要なメカニズムの一つとして注目されています。
本報では加齢による認知機能の老化とFMD・血管内皮機能障害に関連のある文献をご紹介します。

目次

Endothelial dysfunction associated with mild cognitive impairment in elderly population.
「高齢者の軽度認知障害に関連する内皮機能障害」


著者:
Gianluigi Vendemiale, Antonino D Romano, Mariangela Dagostino, et al.
出典:
Aging Clin Exp Res (2013);25(3):247-255.

https://link.springer.com/article/10.1007/s40520-013-0043-8
キーワード:
軽度認知障害、認知機能障害、血管機能、加齢

高齢者における軽度認知障害(MCI)と血管機能障害の関連を調査し、MCI患者は健常者に比べて血管機能が著しく低下していることがわかった。この血管機能の低下は、認知機能の低下を加速させる可能性があり、血管機能障害が認知症の進行に寄与することが示唆された。

Vascular Health is Associated with Amyloid-β in Cognitively Normal Older Adults.
「認知機能が正常な高齢者の血管健康状態はアミロイドβと関連している」


著者:
Yumei Liu, Sophy J Perdomo, Jaimie Ward, et al.
出典:
J Alzheimers Dis (2019);70(2):467-475.

https://journals.sagepub.com/doi/10.3233/JAD-181268
キーワード:
:アミロイドβ、高齢者

認知機能が正常な高齢者を対象に、血管健康状態とアミロイドβ(Aβ)負荷の関連を調査した。血管機能が低下している高齢者ではAβの蓄積が進行しやすく、この蓄積が認知機能に悪影響を与える可能性があることが示唆された。

Olfactory evaluation in Mild Cognitive Impairment: correlation with neurocognitive performance and endothelial function.
「軽度認知障害における嗅覚評価:神経認知機能および内皮機能との相関」


著者:
Alessandro Tonacci, Rosa M Bruno, Lorenzo Ghiadoni, et al.
出典:
Eur J Neurosci (2017) ;45(10):1279-1288.

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/ejn.13565
キーワード:
嗅覚機能、軽度認知障害、血管機能、神経認知機能

軽度認知障害(MCI)の患者と健常者の嗅覚機能と血管機能を比較した。MCI患者では嗅覚機能が著しく低下しており、この嗅覚機能の低下が血管機能障害と密接に関連していることが示された。これにより、MCIが血管機能に及ぼす影響が明らかになった。

Cerebrovascular function and its association with systemic artery function and stiffness in older adults with and without mild cognitive impairment.
「軽度認知障害のある高齢者とない高齢者における脳血管機能と全身動脈機能および硬化との関連性」


著者:
Tsuneo Takenaka, Hiroshi Takane, Tomohiro Kikuta, et al.
出典:
Eur J Appl Physiol (2022);122(8):1843-1856.

https://link.springer.com/article/10.1007/s00421-022-04956-w
キーワード:
脳血管機能、全身血管機能、軽度認知障害(MCI)、高齢者

軽度認知障害(MCI)の患者と健常者を対象に、脳血管機能と全身血管機能の関連を調査した。MCI患者では血管機能が著しく低下しており、この血管機能の低下が認知機能の低下と強く関連していることがわかった。特に、血管機能の改善が認知機能の保持に寄与する可能性が示唆された。

Vascular Function in Alzheimer’s Disease and Vascular Dementia.
「アルツハイマー病と血管性認知症における血管機能」


著者:
Hisatsugu Tachibana, Kazuo Washida, Hisatomo Kowa, et al.
出典:
Am J Alzheimers Dis Other Demen (2016);31(5):437-42.

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1533317516653820
キーワード:
アルツハイマー病(AD)、血管性認知症(VaD)、血管機能、認知機能

アルツハイマー病(AD)および血管性認知症(VaD)の患者を対象に、血管機能と認知状態の関連を評価した。両者の疾患において血管機能が著しく低下しており、この血管機能の低下が認知機能の低下を引き起こしていることが確認された。特に、血管機能の改善が認知機能の保護に寄与する可能性があると考えられる。

Impaired Progenitor Cell Activity in Age-Related Endothelial Dysfunction.
「加齢に伴う内皮機能障害における前駆細胞活性の低下」


著者:
Christian Heiss, Stefanie Keymel, Ulrike Niesler, et al.
出典:
J Am Coll Cardiol (2005);45(9):1441-8.

https://www.jacc.org/doi/abs/10.1016/j.jacc.2004.12.074
キーワード:
内皮前駆細胞、加齢、血管機能、血管修復

加齢に伴う血管機能の低下と内皮前駆細胞(EPC)の機能低下との関連を調査した。EPCの機能が低下することで血管機能も悪化し、加齢による血管機能の低下が健康に与える影響が増大することが示された。

COVID-19 Exacerbates Neurovascular Uncoupling and Contributes to Endothelial Dysfunction in Patients with Mild Cognitive Impairment.
「COVID-19は軽度認知障害患者の神経血管分離を悪化させ、内皮機能障害に寄与する」


著者:
Cameron D. Owens, Camila B. Pinto, Zsofia Szarvas, et al.
出典:
Biomolecules (2024);14(12):1621.

https://www.mdpi.com/2218-273X/14/12/1621
キーワード:
COVID-19、神経血管分離、軽度認知障害、血管機能

COVID-19が軽度認知障害(MCI)患者に与える影響を調査した。COVID-19感染がMCI患者の神経血管分離を悪化させ、血管機能障害を引き起こすことが確認された。このことは、COVID-19がMCIの進行を加速させ、認知機能をさらに低下させるリスクを高めることを示唆している。

Wild blueberry (poly)phenols can improve vascular function and cognitive performance in healthy older individuals: a double-blind randomized controlled trial.
「ワイルドブルーベリーの(ポリ)フェノールが健康な高齢者の血管機能と認知機能を改善する:二重盲検無作為化比較試験」


著者:
Eleanor Wood, Sabine Hein, Robin Mesnage, et al.
出典:
The American Journal of Clinical Nutrition (2023);117(6):1306-1319.

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0002916523463009
キーワード:
ポリフェノール、アントシアニン、動脈硬化、認知機能

ワイルドブルーベリー粉末を12週間摂取した高齢者61名の研究で、血管機能の改善、収縮期血圧の低下、認知機能の向上が確認された。尿中の(ポリ)フェノール排泄量は増加したが、脳血流や腸内細菌叢に有意な変化はなかった。WBBの摂取が心血管疾患リスクや認知機能低下を改善する可能性が示唆された。

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